データマネジメント組織と期待される役割:DMBOK 2nd editionを読んで その8

データマネジメント組織を設置して、企業内で取り扱うデータの管理に取り組む話を良く耳にするようになりました。一方で、組織化せずにまずは、データ利活用やシステム構築プロジェクトの中にDA(データ
アーキテクト)を配置してデータ設計支援やガバナンスなどを実施している場合も見られます。

いずれにしても、企業全体またはプロジェクトを横断したデータのガバナンスは、個々の組織にとっては直接の利益には結びつかないため、総論賛成各論反対となり、なかなか協力が得られず苦労されていることも多いのではないでしょうか。

DMBOK2nd第16章の「データマネジメント組織と期待される役割」では次のようなことが書かれています。

  • 現状の組織と文化の評価
  • データマネジメント組織のモデル(地方分権型・中央集権型・ハイブリッド型・連邦型)
  • 重要成功要因
  • データマネジメント組織の構築
  • 既に存在するデータ管理関連の組織や活動との関わり
  • 執行部、業務、ITの役割

どの内容もデータマネジメント組織を確立していく上では非常に参考になります。
この中で私が着目したのは、組織をどう作っていくのか、そして、活動に対してどうコンセンサスを得ていくのが良いのか、というところでした。
主に、「重要成功要因」と「データマネジメント組織の構築」の節で書かれていますので、かいつまんでご紹介します。(以下はDMBOK2ndからの引用です)

組織構築にあたり、既存の枠組みを利用する

データマネジメント組織のモデルを導入する際は、既にデータマネジメント活動を実施しているチームを組織化します。それは、そのチームの人にスキルがあり知識や経験もあるからです。これにより、周囲への影響を最小限に抑え、不必要な人事や政治に関心を向けることなく、データの管理に集中できるようになります。
また、組織だけではなく検討委員会についても、既存の枠組みを活用して進めるとよいとも言っています。よく、新たにデータマネジメント委員会を立ち上げようにも、人が集められない、時間がないと言われることがあります。既存の委員会を使用すれば、ハードルは低いでしょう。しかし、従来の課題が重視され、新しいデータマネジメント関連の課題はないがしろにされやすいので注意が必要です。

ステークホルダを分析する

ステークホルダ分析により、彼らをデータマネジメント活動に関与させ、活用するための最良のアプローチや、時間などの限られたリソースの最適な割り当てを考えることに役立ちます。また、組織変革に対する反発をより良く予測した計画を
立てることができるようにもなります。次のような質問により、ステークホルダの目標と優先順位、その目標が彼らに取ってなぜ重要なのか、必要な行動は何かが分かります。
「データマネジメントの影響を受けるのはだれか」
「役割と責任はどうかわるのか」
「影響を受ける人はどう変わるのか」
「どのような問題に懸念を持っているのか」
データマネジメントの活動において最優先される事項を実行したり、もしくは阻害したりする可能性のある重要なステークホルダを関与させていく上では、次のようなことを考えなくてはなりません。
「重要なリソースを統制するのは誰なのか」
「データマネジメントの取り組みを阻止できるのは誰なのか」
「重要なメンバに影響を与えるのは誰なのか」
「今後の変革に対してどれだけ協力的なのか」
また、データマネジメントプログラムを成功させるために、ステークホルダが必要な理由を明確にします。これにより、個人的、あるいは職務的目標を理解した上で、データマネジメント活動を目標に結び付けるようになり、自分が関与していることに気が付きます。この関与をしっかり理解しないと、長期的な支援をしてはくれないでしょう。

このような分析は、多かれ少なかれ皆さんもやられていると思います。しかし、
ステークホルダや関与する人々の立場に立ってまで、考えることは少ないのでは
ないでしょうか。個人的には、有効かつ面白いアプローチだと思いました。(筆者コメント)

コミュニケーションを重視する

データマネジメントの取り組みに関するシナリオを作成し、シナリオを中心に重要なメッセージを作り上げます。メッセージでは一貫してデータマネジメントの重要性を強調しなくてはなりません。また、ステークホルダに合わせてカスタマイズする必要もあります。(ステークホルダの立場に合わせて伝える必要があるからです。)
メッセージは必要に応じて繰り返し、効果的に伝わっていることや意識と理解が形成されていることを継続的に確認します。

革命ではなく進化する

データマネジメント組織の確立は、革命ではなく進化です。つまり、時間と共に進化し成熟する組織を作ることが重要になります。ビジネス目標によってデータが管理され、優先順位付けされたりする方法を段階的に改善することにより、新しいポリシーとプロセスが受け入れられ、行動の変化が期待できるようになります。
また、段階的な変化は受け入れられやすく、正当化しやすいため、ステークホルダの支持を得て、その他の重要な人々を関与させることも容易になります。

いかがでしょうか?
私の経験上、参考になりそうと感じた点をピックアップしましたので、偏りがあるかもしれません。しかし、関与するステークホルダの立場や利益を十分に理解して、具体的に変わる姿を伝えることにより、協力を得て、もう少しうまくデータマネジメント
のプロジェクトを進めることができるのかもしれないと、可能性を感じました。
皆さまのご参考になれば幸いです。