気象データ活用のススメ

私たちの生活で、気象情報を意識しない日はありません。
外出時の服装は、その日の気温や降雨量と過去の経験から選びますよね。サービス業の人であれば、天候と集客の実績を踏まえてその日の客入りを予想しますし、物流現場ではルートや設備を見直します。
コンビニエンスストアや公共交通機関のような、天候によって大きくビジネスが左右される企業では、気象実績データの解析が以前から行われています。しかし他の業種では、販売や物流等の業務実績と気象実績を突き合わせて解析している企業はまだ少ないようです。
みなさんの会社でも、気象データの潜在的な解析ニーズがありませんか?

気象実績データの入手ルートはいくつかありますが、気象庁のポータルサイトからCSVやXMLで直接入手するのが簡単で、かつ無料です。
気象庁:気象データ高度利用ポータルサイト
https://www.data.jma.go.jp/developer/index.html

財団法人気象業務支援センターhttp://www.jmbsc.or.jp)から入手することもできます。最新の実績をオンラインで即時に入手でき、DVD等の媒体を通じて大量のデータを入手することもできます。ただしこちらは有料になります。
また、気象実績データを販売している民間企業も数多くあります。これら気象関連企業の多くは、気象庁のデータに自社観測情報を加えたり、顧客ニーズに合わせてカスタマイズした予報情報を有料で提供しています。
よほどリアルで詳細なデータが必要でないなら、気象庁ポータルサイトから入手するのが手軽でしょう。

気象庁のXMLからは、気象実績データだけでなく、地震や津波、⽕⼭の注意報や警報も取得することができます。ただし、ひとつのXMLフォーマットに複数の地域と気象項目が格納されています。そのため、地域と気象項目を絞り込むのに、該当するXMLタグを見つけてから値を抽出する必要があります。
一方、CSVはマップで指定した地域毎、気象項目毎にファイルを生成可能です。
地域はアメダス(AMeDAS:Automated Meteorological Data Acquisition System:自動気象データ収集システム)の全国1300以上の観測所から、
気象項目は次から選択できます。
気温、降水量、降雪の深さ、積雪の深さ、日照時間、風向・風速、全天日射量、現地気圧、海面気圧、相対湿度、蒸気圧、露点温度、天気、雲量、視程
「東京都過去10年分の気温実績データを知りたい」なら、CSVでダウンロードした方が扱いやすいでしょう。

最低気温のCSVサンプル

ダウンロードした時刻:2019/01/28 01:01:01
練馬 練馬 練馬
年月日時 気温(℃) 気温(℃) 気温(℃)
品質情報 均質番号
2018/1/27 1:00 -1.9 8 1
2018/1/27 2:00 -1.5 8 1
2018/1/27 3:00 -1.7 8 1

 

気象庁もこうした気象データを眠らせるのではなく、民間での活用を推進しようとしています。2017年の3月には、
「多様な産業界における気象データの利活用を一層推進するとともに、IoT・AI 技術を駆使し、気象データを高度利用した我が国における産業活動を創出・活性化する」
ために気象ビジネス推進コンソーシアムhttps://www.wxbc.jp/)が設立されました。
ここでは定期的なセミナーや事業者間の交流の場を設けて、活用事例を公開しています(https://www.wxbc.jp/bizcasestadies/)。
田畑に気象センサーを設置して新規にデータを収集する大掛かりな事例から、POSデータと気象実績の相関分析のように、他の企業でもすぐに取り組めそうなテーマも紹介されています。

みなさんも、まずは販売・物流などの領域で潜在的なニーズを掘り起こして、気象データの活用にチャレンジしてはいかがでしょう。もし相関関係が見出せれば、次のステップでは気象予報を基にして、販売や物流の計画を効率化できるかもしれません。