既存システムに影響を及ぼさないデータハブ構築
企業風土に合わせたデータ利活用環境の実現を
独自の知見、ノウハウでサポート


課題:
業務システムの刷新や業務プロセスの変更が難しい環境下で、既存システムの継続的な稼働を担保しつつ、データ収集・蓄積と標準化、利活用を可能にする。そんなデータマネジメント環境の実現を目指す。
ソリューション:
多様な企業風土、ビジネス環境に対応したデータマネジメントおよびデータガバナンスのコンサルティング経験、ノウハウに期待し、Metafindコンサルティングのコンサルティングサービスを活用。
結果:
各基幹システムから商品、取引先、受発注、契約などのデータを収集した後に標準化し、保管・活用する。そんな独自の構成でデータハブを構築。業務に必要な情報をデータマートに抽出し、BIツールなどによる分析や加工を可能に。
ロボットインテグレーターとして、メーカーとユーザー
両者の課題をトータルに解決するソリューションを提供
「ロボット革命で、人々を幸せに。」をビジョンに掲げ、ファシリティマネジメント、飲食、物流といったさまざまな領域で活躍するロボットを開発し、市場に提供してきたソフトバンクロボティクス株式会社。世界9カ所に拠点を構え、人型ロボット「Pepper(ペッパー)」をはじめ、除菌清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」、配膳・運搬ロボット「Servi(サービィ)」などを提供し、業務用屋内サービスロボットでは世界70カ国に展開している。2022年には、業務用屋内サービスロボット市場において世界ナンバーワンの導入数を達成している(※1)。
そんなソフトバンクロボティクスが、2022年10月に発表したのが、「ロボットインテグレーター」戦略だ。ロボットユーザー向けのコンサルティングサービスと運用支援、メーカーへの企画提案から量産・保守のサポート、これまで蓄積したデータを活かしたユーザー企業への多様なソリューションの提案などが戦略の柱となる。ソフトバンクロボティクス株式会社 プロダクト統括 技術本部 ITAI技術部 AIソリューションデリバリー課 課長 武藤拓馬氏は、「配膳・運搬ロボットと清掃ロボットの協働など、数種類のロボットを同じ施設内に導入するユーザーが増えてきたことで、例えば、複数メーカーのロボットの管理業務を統合したい、業務環境の変化に合わせたロボットの導入や運用を、周辺システムも含めてサポートしてほしいといったニーズが高まっています。ロボットインテグレーター戦略は、ユーザー側にロボットを組み込んだソリューションを提案すると同時に、メーカー側に、ユーザーニーズに基づいた製品開発、機能追加やカスタマイズを提案する。メーカーとユーザーの間で、当社が培ってきたノウハウや知見、運用データを活かしていこうという取り組みです」という。

企業文化や企業風土に配慮した形で、データの管理や活用の方法を提案してきた経験を活かし、当社独自の環境に最適な提案をしてもらえるという期待もありました
武藤拓馬氏
ソフトバンクロボティクス株式会社
プロダクト統括 技術本部 ITAI技術部 AIソリューションデリバリー課 課長
個別最適化された複数システム上データの横断的利活用へ
Metafindコンサルティングのノウハウに期待
ロボットインテグレーター戦略に注力する過程で、課題となったのがデータマネジメントだ。「取り扱うロボットの種類が増え、サービスのバリエーション、契約形態が多様化していくなかで、日々のオペレーションデータの蓄積や活用は、どうしても個別最適での対応が多くなっていた傾向があります」と、武藤氏はいう。グローバルな拠点で複数のシステムが稼働し、データは現場ごとに生成されて活用される。成長分野であるロボット産業は、競争が激しい。今までになかった機能を持つロボットを他社に先駆けて提供することが、新たな市場の獲得に直結する傾向もあり、他の分野以上にスピード感が求められる。「ビジネスを前に進めることに注力するために、データの入力や取扱いに関する全体最適は先送りになりがちでした」(武藤氏)。
各システムのデータを横断的に収集して整理し、いつでも利用できるようにしておくためのデータマネジメント実現の機運が高まったのは2022年のことだ。「当時、業務側も、IT部門も、データ管理の課題は認識していたと思います。ロボットインテグレーター宣言を打ち出したタイミングで、IT側から全社的なデータ活用のための基盤構築を提案し、経営企画部門の承認を受けて動き始めました」というのは、プロダクト統括 技術本部 IT統括部 ITAI技術部 デジタル推進課 戸出佳図木氏だ。ソフトバンクロボティクスには、日々の業務の効率性や収益性、迅速化に集中することで成果をあげるという企業文化がある。データ活用基盤の構築にあたっても、各拠点のシステム運用への影響、ビジネスの遅延による業務部門の負荷を最小化したうえで、プロジェクトを進めていくことが求められた。

AIが活用するための、正確性が高く、粒度が一定なデータを、データハブという一つのシステムから収集できることで、製品開発の効率性も向上すると考えています
戸出佳図木氏
ソフトバンクロボティクス株式会社
プロダクト統括 技術本部 IT統括部 ITAI技術部 デジタル推進課
データ活用基盤構築にあたって、ソフトバンクロボティクスがサポートを依頼したのが、Metafindコンサルティングだ。データマネジメントやデータガバナンスに特化したコンサルティングファームである。ソフトバンクロボティクスに対しては、データ利活用環境を整備するために必要なデータマネジメントに対する意識の向上を目的とした社員教育、ロボット運用のための共通プラットフォーム構築の際のシステムおよびデータセキュリティ管理に関するサポートなどの実績もある。「多様な業種、業態、それぞれの企業文化、企業風土に配慮した形で、データの管理や活用の方法を提案してきた経験を活かし、単なるパッケージソフトの導入支援ではなく、当社に最適化された提案をしてもらえるという期待もありました」(武藤氏)。
膨大なデータを抽出し、一つひとつ標準化の方法を検討
既存システムに影響を及ぼさないデータ利活用環境構築を実現
2023年3月、プロジェクトは、利活用したいデータを管理しているシステムのデータ構造や実際のデータ値などを再確認し、データ管理の課題を共有することからスタートした。「各ベンダのSFAやERPパッケージなどが混在していた基幹システムから膨大なテーブルやデータ項目を分析して、どこでどんな意味のデータが生成され、どのようにシステム間で使われているのかを明らかにし、データモデルやテーブル定義書を作成して整理しました」と、戸出氏は振り返る。自身の業務部門での経験も活かしながら、Metafindコンサルティングのコンサルタントと週3回ほど定期的にミーティングを持ち、密に連携しながら整理と確認を進めたという。「同じようなデータがあっても、システムごと微妙にフォーマットが違うし、登録されているデータも違う。同じ意味のデータを1つのデータとして標準化するには、どうしたらいいのか。整理の仕方からアドバイスしてもらいました。データ管理のガイドラインを提示してもらったことで、作業量が膨大だったデータの整理もスムーズに行えたと思います」(戸出氏)。
プロジェクトでは、論理的なデータアーキテクチャ、機能一覧の整理を実施。標準マスタデータおよび標準トランザクションデータの設計などを経て、2023年10月にドキュメントにまとめて開発チームへと連携。2024年5月、ソフトバンクロボティクスデータハブとしてリリースされた。特徴的なのは、稼働中のシステムには全く影響を及ぼさない形で構築されたことだ。戸出氏は、「稼働中の各基幹システム単位でみれば、データの入出力、保管や閲覧などの方法には、まったく変更が加えられていません」という。日々の業務で生成されるデータは、バッチ処理連携と準リアルタイム連携を併用して収集され、データチェック後にデータハブ内のステージング層に保管。その後、標準化変換処理を施されたうえで、標準マスタデータ、標準トランザクションデータとして保存される。部門ごと、拠点ごとに作成するデータマートやBIなどへは、標準化済みのデータが配信されることになる。「既存システムに変更を加える必要がありませんでしたので、社内合意の形成も容易でした。迅速な導入が可能になった要因だと考えています」(武藤氏)。

ソフトバンクロボティクスデータハブ概要
データハブを活用した多様な取り組みを加速
データマネジメントの企業文化としての定着を目指す
ソフトバンクロボティクスでは、データハブの稼働を受け、業務部門のユーザーに標準化済みのデータを活用してもらうための取り組みが進んでいる。業務ユーザーが、データハブ上のデータを自由に利活用し自身の業務に活かす。いわば、データの民主化だ。「ユーザー自身が入力したデータの課題が見えてくるため、データハブ内に重複するデータや不完全なデータがあることに気づけば、データの取り扱いについての意識が高まる。そんなサイクルがうまれるのではないでしょうか」と武藤氏はいう。データ利活用に合わせて業務プロセスを見直すなど、社内の意識の変化も期待される。
また、戸出氏が、「今後AI活用が進むにつれて、正確性が高く、標準化されたデータが、データハブという一つのシステムから収集できるようになったことは、重要性を増してくると考えています」というように、AI清掃ロボットはもとより、物流ロボットのAIを活用した自動化、人型ロボットのセンシング機能やコミュニケーション機能の強化など、同社が注力するAIとロボット技術の統合といった視点からも、新たな可能性を見出せる。「今回のデータハブ構築を契機に、データを資産としてとらえ、適切に管理し、活用していく文化として、データマネジメントを定着させたいと考えています」と、武藤氏はいう。サービスロボットの世界市場規模は、楽観的シナリオだが、2033年には12兆円に達するという予測もある(※2)。Metafindコンサルティングは、これからも、ソフトバンクロボティクスにとって、確かなパートナーであり続けるはずだ。
※1 Grand View Research調べ、2022年4月末時点。複数のロボットが対象
※2 「ロボット未来予測2033」(株式会社日経BP発行)より
会社概要
社名 | ソフトバンクロボティクス株式会社 |
本社 | 東京都港区海岸1丁目7番1号 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー |
創業 | 2014年7月 |
URL | https://www.softbankrobotics.com/jp/ |