避けては通れない標準化
システム毎に取引先コードや商品コードがバラバラに存在していると、データ利活用時にはいちいち紐づけることになります。
そうしないと、横並びで情報の比較が出来なくなるためです。
システム再構築や情報基盤構築が予定されている場合は、それを機会にコード統一やデータ項目の標準化を推進します。
しかし、コード統一やデータ項目の統合完了までに時間が掛かるため、取り組み範囲を絞り込むなどしながら、続けています。
また、膨大なデータ量を扱い、データから何らかの価値を導き出して、業務改善や経営戦略に活かしていく昨今においては、人がデータを理解して「いちいち紐づけ」していてはタイムリーに必要な情報を提供することが出来なくなります。
AIを利用するにも、AIに教え込ませるための基データの整備が必要になりますし、調整にも工数がかかります。なかなか近道はなさそうですね。
標準化がうまくいっている事例がないかどうか探してみました。
標準化と言えば、ドイツにおける「インダストリー4.0」の取り組みではないでしょうか。
プロセスとシステムとデータを標準化することにより、企業を横断したモノづくりが出来る仕組み(スマートファクトリ)を実現しようとしています。
(設計から開発までシームレスにつなげる、多品種少量生産にも対応できる、ノウハウが可視化されて誰でもできるようになる、など色々言われていますね。)
期待して調査してみましたが、標準化は重要ではあるものの、シーメンスやボッシュなどの事例ではインタフェースの標準化に取り組むところ、のようです。
(出典元:IOTと第4次産業革命 野村総合研究所 https://www.nri.com/~/media/PDF/jp/products/sangyo/seminar/170531_01_1.pdf )
形式的な標準化なのか、コードやデータ項目も含めた意味的な標準化かは不明ですが。
少しがっかりしながら他の事例を探してみると、このような記事を見つけました。
「人工知能で「臨床試験」を開かれたものに―あるスタートアップの挑戦が「医療の民主化」を加速する」
https://wired.jp/2018/03/06/democratize-clinical-trials-with-ai/
簡単に要約すると「臨床試験のデータを誰でも検索できるようにした」という内容ですが、誰でも検索できるようにするために、結局のところ、「臨床試験の専門家を雇い、検索エンジンが理解できるよう、自由奔放な専門用語を構造化された言語に手作業で標準化した」そうです。(記事より引用)
きちんと「標準化」をやり切っていますね!
データから利益を得るためには「標準化」を避けて通ることができず、「標準化」をやりきった先には、別の世界が開けるのではないでしょうか?
残念ながら、手間暇かけずに進める解は今のところはありません。
とは言え、情報系システムを利用する側で「標準化」するよりは、基盤システムなどのデータの発生源から「標準化」するように統制していく方が近道だと考えます。
システム再構築を控えている企業の方は、是非、データの「標準化」にも着目して取り組まれはいかがでしょうか?