顧客の行動特性を把握しデータ品質を向上させる
先日知人からこんな話を聞いた。ある商店街の自転車屋さんがECサイトで大変繁盛しているという。
最近の自転車は高級化が進み、同じブランドでもサイズや色、形状などかなり細分化している。それにつれて修理部品などの点数も非常に増えた。
自転車愛好家はこれらをECサイトから注文する際、まず自転車メーカーのホームページを訪れ正式な型番名を確認するらしい。次にそこでコピーした型番名をECサイトにペーストし検索する。そうすれば、自分が求めるスペックの商品を間違うことなく注文できる。
こういった行動特性をキャッチした店主は、ECサイトに出品している商品名を全てメーカーの型番名と一字一句変えずに掲載することにした。おかげでこの自転車屋さんは常に検索上位に表示され、多くの注文がくるようになったという。
身近な話であるが、データの正確性を追求することで販売機会の向上につなげるという、わかりやすい例だ。
一方あるインターネットサイトの話。このサイトでは、ユーザーが簡単な会員登録を行うだけで、サイト内のさまざまなサービスが無料で利用できる。
サイト運営者は、ユーザーの属性に応じて彼らに効果的なターゲティング広告を打ちたい。このためにアクセスログなどから入手した多くの情報をもとにデータ解析を行う。
会員登録の際にユーザーから入手した属性情報は信憑性が低くあまり使えないらしい。そのかわり、占いサイトで入力された性別や生年月日は信憑性が高く使えるという。また、天気予報情報への定期的なアクセスからユーザーの居住エリアも推測できる。
このように収集したユーザーの属性情報から、彼らが関心を示すだろうターゲティング広告を表示する(もちろん個人情報の難読化を行うのだが)。
この会社におけるデータの正確性は、先ほどの自転車屋さんのような厳密さは求められない。ただし、信憑性の高いデータを手に入れることがマーケティング精度を高める上での生命線だと言える。
上の二社はともに、サイト利用者にいかに選別してもらえるか、という視点でデータの正確性向上に取り組んでいる。ただ、正確なデータを全て手に入れることは労力も掛かり難しい。
そこで各社ともまず、サイト利用者のデータ入力や検索といったシーンを分析し、彼らのニーズや特徴を掴んだ。こうすることで、重要な項目や期待される精度を見極めることができる。また、欲しい精度のデータがどこにあるか?もわかってくる。
このように、ステークホルダーの行動特性を分析してみることは、効率的なデータ品質管理を行うための有効な手法だと思われる。参考にしてみて欲しい。