マスタデータ管理 とは
データガバナンス用語解説14

●マスタデータとは?

DMBOKでは、マスタデータについて“業務活動に関連する共通概念を抽象的に表現することにより、その活動に意味を与えるデータである。顧客、製品、従業員、ベンダ、制御ドメイン(コード値など)、組織内部と外部で業務上の取引に関わる実体を記述した詳細(定義と識別子)”と説明しています。例えば次のような、企業の経営資源が該当します。
ヒト:従業員、取引先、社内組織・・等
モノ:製品、部品、拠点・・等
カネ:勘定科目、資産・・等

●マスタデータ管理とは?

マスタデータ管理は、DMBOKでは次のように定義されています。
“マスタデータの値と識別子を管理し、重要なビジネスエンティティに関する最も正確で最新のデータを、システム間で一貫して使用できるようにする。”
例えば、営業システムと会計システムでは別々に顧客企業を管理するマスタが存在し、次のように値が登録されているとします。

・顧客マスタ(営業システム)
「顧客コード:001」
「顧客名称:Metafindコンサルティング株式会社」
「顧客住所:東京都千代田区神田小川町1丁目」

・取引先マスタ(会計システム)
「取引先コード:AC01」
「取引先名称:Metafindコンサルティング(株)」
「取引先住所:東京都千代田区神田錦町3丁目」

このままでは、同じ顧客企業が異なる識別子や属性値で管理されているため、どちらが正確なのか、どちらが最新なのか分かりません。マスタデータ管理では、顧客企業の値を名寄せし、次のように同じ企業に同じ識別子を付与し、正しく最新の属性値を保持するようにします。

・取引先マスタ(システム共通)
「共通取引先コード:00001」
「共通取引先名称:Metafindコンサルティング株式会社」
「共通取引先住所:東京都千代田区神田小川町1丁目」

●マスタデータ管理を行うメリット

では、システムを跨いでマスタデータが統合されると何が嬉しいのでしょうか? DMBOKではビジネス上の意義と題して、“マスタデータ管理プログラムに取り組む最も一般的な意義”について述べています。ここではその一部と事例を交え、マスタデータ管理を行うメリットについてご紹介します。

・組織のデータ要件を満たす
DMBOKでは、“組織内の複数部署が、完全で最新で一貫性があり信頼できる共通データセットにアクセスする必要がある。マスタデータを元にして、このようなデータセットが作られることが多い”とあります。例えば、顧客360°ビュ等、企業内の顧客に関するあらゆるデータを分析したいといったケースを考えてみましょう。統合された顧客マスタがあれば、顧客の購買履歴やアンケート、問い合わせなど社内のあらゆる顧客データを一元的に把握して分析することが可能となり、顧客のニーズに合ったサービスを提供することが出来るようになります。

・データ品質管理
DMBOKでは、“データの不整合、不良、欠落は誤った意思決定や機会喪失につながる。マスタデータ管理により組織の重要な業務対象が一貫して表され、このリスクが削減される”とあります。例えば、販売管理システムと物流管理システムで顧客マスタを別々に管理しており、販売管理システムが更新した顧客マスタの情報(顧客の住所、連絡先など)を、物流管理システムでは更新出来ていなかったとします。このままでは、物流管理システムが過去の顧客情報を基に発送してしまうため、商品が正しい住所に届かず、顧客の不満に繋がってしまう、といった事態を招いてしまいます。識別子や属性が統合されたマスタを配置することで、システム間でデータの整合性が確保され、このようなリスクを削減することが出来ます。

●最後に マスタデータ管理とデータガバナンス

ここまで、マスタデータ管理のメリットについてご説明しましたが、単にマスタデータ管理を導入するだけでは、そのメリットを十分に享受することはできません。
統合されたマスタデータを継続的に管理運用するためのルールや体制を整備し、ルールに沿ってマスタデータが管理されるように、ステークホルダーの協力を得ながらデータガバナンスを機能させる必要があります。DMBOKでも“ガバナンスがなければ、マスタデータソリューションは潜在能力を最大限発揮できず、ただデータ統合ユーティリティを追加するだけになってしまう”と述べられています。
弊社ではマスタデータのアーキテクチャ検討や設計支援、データガバナンススキーム導入の経験が豊富にあります。取り組みをご検討されている方はお声がけいただけますと幸いです。

※“(引用文)”は、DMBOK2nd 第10章参照データとマスタデータより引用。

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