データクオリティマネジメント:DMBOK 2nd editionを読んで その3
代表の吉岡です。先日、私が参加するDAMA・データクオリティマネジメント(DQM)研究会1にて、DMBOK1.0/2.0の読み比べを行う集まりがありました。手元にはあるものの所謂「積読(つんどく)」状態のDMBOK2.0でしたが、丁度良い機会なのでデータクオリティ章について研究会開催前に読み込んで見ました。以下はその感想です。
バランスの良い構成になった
まず構成について。DMBOK1.0のデータクオリティ章では、主にアクティビティの解説に重きを置きかなりのページを割いています。一方DMBOK2.0では、アクティビティの解説に留まらず、ツールや、実装上のガイドライン、データガバナンス方法等が追加され、バランス良い構成になりました。これからDQMを導入する企業にとっては、検討すべき事項が把握しやすいため、入門書としてはDMBOK2.0の方が適しています。
「ビジネスへの寄与」がより強調された
主義主張についてはDMBOK1.0と概ね同じスタンスです。ただ特徴的に感じたのは、よりビジネスと連動したアプローチを取るよう強調している点。DQMの活動は地道で効果訴求が難しい側面があるからでしょうか?「顧客信頼性の維持と顧客情報の整備」等の幾つかのビジネスニーズを引き合いに出し、ステークフォルダの理解を得ながら取り組むべきである、と解説しています。研究会の場でも、ビジネスニーズを意識して濃淡を付けた活動を心掛けることの重要性が議論されてきたため、この点は大いに評価できます。
内容面には若干の物足りなさを感じる
章全体が読み易くなりましたが、ある程度実践を経験してきた企業にとっては、若干物足りなさを感じるでしょう。特にアクティビティに関しては解説がかなり簡略化されたため、具体的な作業がイメージしづらい箇所が幾つか存在します。踏み込んだ内容が知りたい場合はDMBOK1.0か、もしくはDQMの専門書を活用する方が良いでしょう(研究会でも、当面はDMBOK1.0をベースに議論を続けることに決めました)。
DAMA・DQM研究会では、DMBOKのアクティビティに実際のビジネスニーズ事例に当てはめ、現場への具体的な適用方法を研究しています。最終的には手順書や成果物ワークシートのような形式にまとめる予定です。ご興味ある方は是非ご参加ください。
- DAMA・DQM研究会(第8分科会・データ品質に関する研究会)