データ利活用の推進に必要とされるスキルとは(2)

データマネジメントスキル2

前回はデータマネジメント推進組織の役割として以下の3つを定義し、このうちの2つについて、必要とされる知識やスキルの説明をしました。(前回URL:https://metafind.jp/2019/07/12/skills-for-data-leverage-part1/

  1. 事業部門に向けたデータ利活用の支援
  2. データ統合基盤の構築
  3. データ利活用の統制

今回は残りの「3.データ利活用の統制」の観点から説明を続けるとともに、最後に全体の総括を行います。

3.データ利活用の統制:

全社的なデータの利活用を推進していくなかで、データの生成方法や利用方法に関するルールが必要です。また、そのルールが守られるよう日常業務を監視し統制する仕組みも考えなければなりません。
それは例えば以下のようなものが考えられます。

  • 個人情報や自社の財務情報など、機密性の高いデータに対する利活用制限ルールと、日々の利活用を監視・統制する仕組み
  • データの標準化やデータ品質の維持のためのデータ生成ルールとデータ設計やデータ登録業務を監視・統制する仕組み

この活動に必要なスキルは次の通りです。

「制度設計スキル」

制度設計とは、ルールの策定とそのルールを守らせるための監視・統制の仕組み作りを指します。例えば、個人情報の利活用にはコンプライアンス・リスクが伴います。そこで、個人が特定できる項目を難読化する、目的外利用を禁止する、などといったような利活用を行う上でのルールが必要です。また、そのルールに則って利活用プロジェクトを監視し、そのプロジェクトがどこまでの範囲でデータ利活用を行いたいかを明確化させることで、目的外の利用が行われないよう統制する仕組みを考えます。
データの標準化やデータ品質の維持についても考え方は同様です。まず、標準のデータフォーマットやデータ命名ルール、データ品質基準を定めます。次に、そのルールに則って例えばデータモデル等の成果物に対して標準化がなされているかチェックしたり、データ品質を定期的に測定し必要に応じて改善指導を行うなど、ルールが守られるよう監視・統制する仕組みを考えます。
こういった制度を、自社の日常業務のなかに新たに組み込むことになります。制度設計を行う担当者は、目的を理解し守るべき、現場に過剰な負荷が掛からないような、合理的な制度を設計することも併せて求められます。

「交渉・調整スキル」

制度を日常業務に組み込むためには、社内の各組織の協力が不可欠です。そのため、場合によっては経営やマネジメント層を動かさなくてはなりません。
彼らから賛同を得るには、データマネジメントの目的や意義・効果を論理立てて説明し説得する力が求められます。
また、時には一部の組織と利害が対立してしまうこともあります。このような場面では、一方的にルールを振りかざすだけではなく、核心を押さえつつ現実的な落しどころを見据えて、最低限のルールは守ってもらえるよう調整する力も求められます。


ここまで、データ利活用の推進を前提に、そこで必要とされる知識やスキルを解説してきました。前回のブログでも触れていますが、データマネジメント組織はIT部門を中心に発足しているケースがほとんどのように思います。IT部門はユーザから要件を聞き出し、それを着実にシステム化する能力には長けているように思います。
しかし、データ利活用の推進活動となるとそれだけでは足りません。
業務知識を身につけ事業部門の課題を見つけ、解決策を導くような行動が求められます。また一方で、コンプライアンス遵守や標準化の推進のような、統制活動も必要です。こういった活動は、従来のシステム開発で求められるスキルとは大きく異なるところではないでしょうか。

とはいえ、1つ1つのスキルにはそれなりの深みがあります。1人の担当者が全てのスキルを網羅的に習得するのは至難の業です。
そこで各組織からそれぞれの専門スキルを有した担当者をバランス良く集めてデータマネジメント推進組織を作っていくことが現実的です。例えば業務知識は事業部門経験者を各業務領域から選抜することが考えられます。
また今回は触れませんでしたが、専門的な統計解析の知識やスキルが必要なときには、データサイエンティストを外部調達することも視野に入れるとよいと思います。
ただし、各担当者は自分の専門外の知識を全く知らなくてよいわけではありません。各担当者が専門知識を持ちつつ、専門外の知識に対しても一定レベルの理解があることが、データマネジメント推進組織全体を上手く機能させることにつながると思います。