データメッシュとは?
~DMBOK翻訳者が語る~

Gordon JohnsonによるPixabayからの画像

何故データメッシュが注目され始めているのか

昨今、多くの企業がデータ利活用のためにデータ統合基盤構築に取り組まれています。データ利活用がしやすいように、データ統合基盤でマスタやトランザクションデータを標準化して蓄積し、いつでも欲しい時に提供できるようにしておくことがセオリーです。
しかし、扱うデータが多くなるにつれ、データ統合基盤の運用保守チームに集中的な負荷がかかり、残念ながら、それらが利活用推進のボトルネックにもなっています。

そこで、ビジネスドメイン毎(営業・マーケティング・財務などの業務領域)に分散してデータを管理しておくことで、データ提供時のボトルネックが解消され、データ利活用が推進されるのではないか、と考える企業もでてきました。
こうした分散管理アーキテクチャの考え方のひとつが「データメッシュ」です。

データメッシュとは?

データメッシュの提唱者であるZhamak Dehghani氏(https://twitter.com/zhamakd)は、データメッシュを以下の4つの原則で説明しています。(※)

データメッシュのメリットを享受するためには

データ利活用を加速させるために、「データメッシュ」の考え方を部分的に取り入れる事例が増えてきているようです。そうした事例では、マスタやコード統合、データ標準化を行うための基盤を構築せずに、ビジネスドメインから直接データを取得しています。
しかし、そうした事例で④のガバナンスまで踏み込んで考えられているものは少ないのではないでしょうか?

各ビジネスドメインが利用者の要求に応じることは、その分ドメインに負荷が掛かることを示しています。
もし、求められるままにデータを提供していては、結果的に似て非なるインタフェースデータが増えてしまい、管理が繁雑になるばかりか、要求にも素早く応じられずボトルネックになります。

それらを解消するためには、各ドメインではどのようにデータを保持しておくと良いのか(あらゆる要求に応じられるように標準化しておくなど)、メタデータデータ品質・データセキュリティはどう管理されるべきかなどのガイドラインも定めて、遵守していくようにガバナンスするべきです。
本来の「データメッシュ」のメリットを享受するためには、こうしたデータガバナンスこそが重要なのではないでしょうか。

※参考文献:

” Data Mesh” . Dehghani, Zhamak. 2022. Data Mesh. O’Reilly Media

https://www.oreilly.com/library/view/data-mesh/9781492092384/