2週間で合格!CDMP合格体験記

CDMPはデータマネジメントの唯一つの国際資格

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CDMP(Certified Data Management Professionals)とは、DAMA-i(Data Management Association International)が認定しているデータマネジメントの国際資格です。CDMPに合格するためにはDMBOK(Data Management Body of Knowledge)の知識のみならず、データマネジメント業界での実践経験英語力が求められます(日本語の試験がないためです)。しかし、日本ではCDMPの認知度は低く、インターネット上でも情報は多くありません。

 

そこで今回は、CDMPに合格した著者の2週間に渡る試験対策、オンライン受験のプロセス、そして実際に試験を受けた感想をご紹介します。

※翻訳ツールの使用と資料の持ち込みについて追記しました。(2022年7月11日)

CDMP合格までの道のり

合格までの2週間を、大きく1回目と2回目の受験に分けて、取り組んでいた準備や試験対策を紹介します。実は、1回目は不合格になってしまい、猛勉強の末、2回目で合格しました。

1回目の受験準備

Day 1~3(約8時間)
下準備

まず初めに、何事も「敵を知る」ことが大切です。CDMPとはどんな試験なのか、何を目標とすればよいのか、等を知るために、CDMPの公式サイト(https://cdmp.info/about/)で試験の概要を確認しました。整理すると下図のようになります。

2週間で合格!CDMP合格体験記(試験概要)

今回私はCDMP Associateを目標としました。合格するためには、Data Management Fundamentalsで正答率60%以上が必要だと分かりました。ちなみに、試験の問題数は100問、回答方法は4択もしくは5択から1つ選ぶ選択式で、時間は本来90分ですが、ESL(English as a Second Language)の人にはさらに20分の猶予がもらえます。

Practice Exam(模擬試験)の受験

目標が定まったところで、CDMP Associateの必須試験である「Data Management Fundamentals」とはどんな試験なのかを把握するために、Practice Exam($40)を購入してみました。設問形式は本試験と同じですが、問題数は40問、時間は36分でした。早速、力試しとして受験したところ、正答率は47.5%(40問中19問正解)でした。

模擬試験を受けて、次のようなことが分かりました。

  • 設問は6~40単語程の短文が多く、文章自体はそれほど難しくない。(下記は設問のイメージ)
    • Ex:Which statement best describes the relationship between Data Management and Data Governance?

    • Ex:One of basic types of database processing is ACID, which is a set of properties of database transactions intended to guarantee validity. ACID stands for…

  • 回答は選択肢をクリックして選ぶだけなので、試験自体は非常にシンプル
  • DMBOKの知識体系全てが試験範囲だが、出題分野に偏りがあると感じた。出題の比率が高い分野に絞って対策をすると得点が早く伸びそう。

3つ目の出題範囲と出題比率については、CDMPの公式サイトに詳細の記載がありました。整理すると下図のようになります。上位6テーマで全体の64%を占めている一方、Big DataやData Ethicsは2%(100問中2問)しか出題されないことが分かります。

 

 

 

Day 4~5(約12時間)
日本語版DMBOK2での学習

模擬試験を参考に、まずは、出題比率が高い分野を集中的に学習することにしました。私の場合は、Metadata ManagementとMaster and Reference Data Managementの理解が薄かったので、さらにこの2分野に的を絞ることにしました。学習方法としては、内容の理解を深めることを目的としていたので、この2日間は日本語版DMBOK2を使用しました。

Practice Examを複数回解く

Practice Examは受験回数の制限はありませんが、前回解いた問題と同じものが出題されることが多いです。従って、2回目以降は実力を測るというよりも、英語試験に慣れることを目的として、3,4回繰り返し解きました。一方で、知らない英単語はノートにメモをして、その意味を確認する程度で済ませていました。(詳細は後述しますが、この段階で知らない単語を十分に定着させなかったことが、1回目の本試験で不合格となった要因の1つでした)

Day 6(約4時間)
本試験の準備

本試験では、Honorlock(https://honorlock.com/students/)という遠隔監視サービスを利用します。そのため、ChromeにHornorlockの拡張機能を事前に追加しておく必要があります。本試験の購入後、事前設定に関する説明書が送付されるので、その内容に従って設定すれば問題ありません。

いざ本番

本試験の画面で“take the Quiz”のボタンを押すと、テストが始まると思いきや、Honorlockの画面が現れます。下記の手続きを行います。

私はインターネットの接続が途中で悪くなり、上記ステップの途中で止まってしまいました。少し慌てましたが、Honorlockは画面右下にあるチャットで24時間体制のサポートがあったため、チャットで助けを求め、すぐに対応を受けることができました。(もちろんチャットでの会話は全て英語です)

ようやく全ての準備が整い、いよいよ試験開始となりました。最初は少し緊張したのか、設問文や選択肢の意味がなかなか頭に入らず、何回も読み返してしまいました。また、一文の単語数は少ないものの、想像以上に文中の単語の意味が分からず、回答に自信が無いものも少なくありませんでした。100問目を終えた時点で残り10分だったので、回答漏れの確認や見直しをしました。

結果は58点。あと2点届かず不合格でしたが、本試験を通して次のようなことが分かりました。

  • Practice Examと同じ設問は100問中5,6問ほどで、他の設問は全て初見。
  • 全ての設問が英文のため、日本語で得た知識を適用することは難しい。英文の試験対策は、英文教材でしなければ意味がない。
  • DMBOK2に記載されていることが直接そのまま訊かれることは少なく、むしろ全体の流れや要点を理解していないと正解を選べない設問の方が多い。
  • 意外と知らない英単語(特に、日常ではあまり使用しない文語やIT業界での専門用語)が多く、単語の意味が分かっていたら解けたであろう問題も多数あった。

2回目の受験準備

Day 7~12(45時間)
英語版DMBOK2での学習

本試験での反省を踏まえ、英語版DMBOK2を用いて学習することにしました。その際、あまり和訳に拘らず、英語を英語のまま理解することを心掛けました。読んだ分野は出題比率が10%を超えている6分野全てです。ただ、テクニカルな記述が多い箇所は、日本語版DMBOK2も併用しました。重要な箇所にはマーカー線を引いたり、英語での理解に苦しむ場合は日本語で補足説明をメモしたりしました。

英単語の対策としては、専用のノートを作り、知らない単語が出てきたら都度調べてノートに追加していました。最終的には、200を超える単語のリストが出来上がりました。ここで、私の単語リストの中からいくつかピックアップしてみましたが、皆さんは全ての意味が分かりますでしょうか?(回答は最下部にあります)

  1. deliverables
  2. artifact
  3. retrieval
  4. align
  5. derive

全て分かった方は、スムーズに英語版DMBOK2を読み進めていくことができるかもしれません。単語力が低いと感じる方は、英語版DMBOK2を読み進めながら新しい単語を1つずつ身に着けていきましょう。単語力がついてくることでDMBOK2を読む速度と内容の理解度が上がっていきます。(私もそうでした)

Day 13(4時間)
2回目の本試験

英語版DMBOK2での学習も一区切りついたため、再び本試験に臨みました。ただ、1回目の本試験から少し日が経っており、問題を解くという感覚をもう一度戻すため、Practice Examを5回ほど繰り返し解きました。

前回よりもパワーアップした単語力と英語読解力、高い比率で出題される分野に絞った対策、そして本試験を一度経験していることによる心の余裕もあって、無事CDMP Associateを取得することができました。

翻訳ツールの使用について ※2022年7月現在

試験は全て英語ですが、試験中にブラウザの翻訳ツールを使ったり、翻訳サイトを使用したりすることが正式に許可されるようになりました。個人的には、ブラウザの翻訳ツールを用いたページ全体の自動翻訳をお薦めします。Chromeであれば、右クリックから「日本語に翻訳」をクリックするだけで、画面に表示されている全ての英文を自動で日本語に翻訳させることができます。

翻訳サイトを使用すること自体は禁止されていませんが、別タブを開いてgoogle検索や翻訳サイトで、英語の意味を調べようとする際には注意が必要です。Honorlockが「問題の答えを検索しよう」とカンニングしていると勘違いして、強制的に試験が終了となってしまう恐れがあるためです。

また、翻訳した日本語が必ずしもDMBOK2の日本語表記と同一とは限りません。機械翻訳すると、質問文や選択肢のニュアンスが変わってしまうことが多いからです。翻訳はあくまで理解を補足するための手段であり、基本は英語のまま試験に取組むことをお薦めします。

参考:https://cdmp.info/faqs/#elementor-tab-title-1711 
   https://cdmp.info/faqs/#elementor-tab-title-1449

資料の持ち込みについて ※2022年7月現在

DMBOKや自分用のまとめノートなど、1冊だけ持ち込むことができます。(CDMPサイトでは、「Open Book」と呼んでいます)

紙媒体の本1冊でも、電子書籍1冊でもどちらでも構いませんが、両方は不可です。電子書籍を使用する場合、以下のルールがあります。

色々とルールや制約はありますが、資料持ち込みOKというのはとても嬉しいですね。DMBOK2を持ち込む場合、重要な箇所に付箋をはっておき、試験中すぐに該当ページを開けるようにしておくと便利です。

参考:https://cdmp.info/faqs/#elementor-tab-title-2371

最後に

今回は、著者がCDMPに合格するまでの過程を振り返りながら、CDMPの試験概要や試験対策、本番試験の状況などをご紹介しました。CDMPの受験を考えている方は、この記事の内容を参考にして、試験合格を目指していただければと思います。次回は、最短で合格するための効率の良い勉強法やCDMPの受験を通して得たことをまとめる予定です。

 →次回のブログはこちら 『CDMP取得に向けた勉強方法』(https://metafind.jp/2020/08/17/how-to-study-for-cdmp/)

●英単語クイズの回答

DMBOK2の中では下記のように翻訳されてます。

  1. deliverables:成果物
  2. artifact:成果物
  3. retrieval:読み出し、取得、回復、検索、等
  4. align:~に沿わせる、合致させる、呼応する、同列におく、整合する、等
  5. derive:引き出す、得る、導出する 等