データマネジメント用語解説4 データオーナー

データオーナーとは

『データオーナーは、自分の担当分野内のデータに関する意思決定の承認権限を持つ』

(DMBOK2「第3章データガバナンス」より抜粋要約)

オーナー(Owner)とは所有者という意味です。データの所有者であるデータオーナーは、データ要件を決める責任者であり、担当業務領域内のデータに纏わる全ての活動に責任を負います。データオーナーはデータスチュワードと混同されがちですが、両者の違いについて、DMBOKでは次のように述べています。

『データスチュワードが適切な是正措置を講じる一方で、データオーナーには結果責任が生じる』(DMBOK2「第13章データ品質」より要約抜粋)

『データスチュワードは、「データの所有者であるデータオーナー(Data Owner)」と区別し、「オーナーではなくても、オーナーの代わりにデータに対して責任を持つ人」として定義される』(DMBOK2用語集より要約抜粋)

データオーナーはデータの所有者として「結果責任」がある一方で、データスチュワードはデータオーナーの代わりにデータを管理する「管理責任」があると言えます。この違いについて、DMBOKでは次のように例えています。

『所持金を銀行に預けることを考えた場合、お金の持ち主がオーナーであり、口座を管理する銀行がスチュワードである』(DMBOK2用語集より要約抜粋)

お金の持ち主(オーナー)は、銀行の選定や運用方針などを決定します。その結果、お金が数年間引き出せなくなったり、お金の価値が減少したりしても、それは口座を管理する銀行(スチュワード)の責任ではなく、お金の持ち主(オーナー)の責任です。

データオーナーの適任者

データスチュワードとの違いについて整理できたところで、どのような人がデータオーナーに適任なのか考えてみましょう。経営や事業に資するためには、ビジネス要件を把握した上でデータを管理する必要があります。従って、「業務領域におけるトップ」がデータオーナーに就任するのが一般的です。営業領域なら営業部門の部門長、人事領域なら人事部門の部門長になります。一方で、ビジネス要件を把握していないIT部門や、企業活動に対しての責任を負うことができない社外のコンサルタント等はデータオーナーとしてはあまり適切だとは言えません。

データオーナーの主な役割

次に、データオーナーの主な役割を3つご紹介します。

  1. 担当業務領域のデータスチュワードを指名・任命する。
  2. 担当業務領域のビジネス要件をデータスチュワードに伝え、データスチュワードが定めたデータ要件を承認する。
  3. データスチュワードが定めた成果物要件、及びデータアーキテクトが作成した成果物に対して承認を行い、その責任を負う。

2.で記載した「ビジネス要件」「データ要件」についてイメージしやすいように、具体例で説明します。

例えば、営業部門の部門長(データオーナー)は、従来の法人顧客に加えて、個人顧客も営業のターゲットにすると決めたとします。ビジネス要件は「個人顧客へのターゲット拡大」です。これを実現するためには個人情報の収集・管理が必須なので、データオーナーは営業部門のデータを管理しているデータスチュワードに具体的なデータ要件の検討を指示します。

以下、そのデータ要件の一部です。

  • 個人情報を重複して登録しないようにする。(マスタデータ管理要件)
  • 住所データは鮮度を保ち、最新情報を保持する。(データ品質管理要件)
  • 法令に則り、適切なアクセス権が付与された人以外は扱えないようにする。(データセキュリティ管理要件)

データスチュワードによるデータ要件の検討が終わり次第、データオーナーは提言されたデータ要件を確認し、承認します。

最後に

お金や建物、土地、会社など、様々な資産と同様に、データも「所有」するが故の結果責任と、「管理」するが故の管理責任を明確にする必要があります。データ管理責任者=データスチュワード、という認識は比較的浸透していますが、データオーナーの役割は正しく認識されていないことが多いです。見逃されがちなデータオーナーですが、データマネジメントを推進する上で欠かせない役割です。