データ利活用を促進する3つのビジネスメタデータ

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組織内の様々なデータを、誰もが簡単に利用できるようにするためには、メタデータの中でも特に、「ビジネスメタデータ」を適切に管理することが大切だ。「ビジネスメタデータ」は、主に次の3つに分類できる。

これらのメタデータは、DMBOKでもその重要性が強調されている。こうしたメタデータが無ければ、利用したいデータはどれか、どう使えばいいか分からない。場合によってはデータ本来の意味と異なる形で利用して思わぬ不利益を企業に与えてしまうことさえある。今回はデータ利活用の要である「ビジネスメタデータ」とは具体的にどういうものなのかを紹介する。

1.業務に関するメタデータ

一般的に「ビジネスメタデータ」と言うと、こちらを指すことが多い。データが業務上、どのように生成・管理・利用されるのかを説明したものである。例えば、データ項目に関するビジネスメタデータとして主要な情報は、以下である。

●データ項目の意味定義

業務上の意味や主な用途を説明したもの。
例)取引先コード:
ビジネスにおいて取引相手を一意に識別するコード。モノ・サービスの売買を行う得意先と仕入先の両方を含む。

※類似する紛らわしい項目が別に存在する場合、その項目についても参考情報として併記する場合もある。
例)倉庫区分:
自社倉庫か外部倉庫か、など倉庫の保有者を分類する区分。なお、保管できる商品の特性別(冷凍品、ドライ品など)に倉庫を分類する倉庫分類コードがある。

※他項目から加工/導出する項目の場合、その加工式や導出の流れも説明する。数量項目の場合は数量単位を、金額項目の場合は通貨や金額単位、税込か否か、なども示す。
例)受注金額:
単価×受注数量で算出される取引先から受けた注文金額、日本円千円単位。

●発番に関する情報

コードや区分の発生元や発番範囲、発番粒度、発番ルール、などを説明したもの。
例)取引先コード:
営業部の担当者が、受発注管理システムで採番。取引先と売買契約を締結する前後で登録するため、見込得意先や見積段階の仕入先は登録されない。
採番は国内の得意先/仕入先を対象に、事業所や組織の単位で実施。取引先区分1文字(T:得意先、S:仕入先)+連番5桁の計6桁。

●値事例

具体的な値を例示したもの。
例)取引先コード:
T17238 ABC株式会社 東京支店

●値制約

データ項目の入力規則やチェック仕様、などを説明したもの。
例)受注金額 :必ず0以上となること

例)出荷年月日:必ず受注年月日よりも後の日付であること

このような業務に関するメタデータが管理されていれば、利用したいデータなのか、どのように使えばよいのかをデータ利用者自らで考えることができる。

2.データセキュリティに関するメタデータ

データの意味は分かったが、そのデータは本当に使っても問題ないのだろうか。万が一誤って使った場合、会社に何らかの損害を与えてしまうのではないだろうか…。データ利活用者にこのような不安を与えない、かつ自社で定めたセキュリティ指針に沿ってデータ利用のリスクを減らす必要もある。そのためにも、データセキュリティ施策で整理した内容を、次のようなビジネスメタデータとして公開しておくと良いだろう。

・機密レベル:そのデータがどの程度の機密性・秘密性を有しているか(Ex. 極秘、社外秘、一般公開など)

・個人情報フラグ:そのデータに個人情報が含まれるかどうか

・アクセス権限:そのデータにアクセスできる人や組織はどこか

例えば、テーブル単位でセキュリティのメタデータを表現すると、下表のようになる。

3.データ品質管理に関するメタデータ

利用したいデータが見つかっても、そのデータは本当に使える(信用に値する)品質なのだろうか?データの品質状態があらかじめ分かれば調査する手間が省けるため、データ品質の測定結果をビジネスメタデータとして公開すると良い。例えば、取引先区分(1:得意先、2:仕入先)のデータ品質の測定結果が以下のように記載されていたとする。

「エラー率0.1%:想定外の区分値(0やnullなど)あり」

これを見たデータ利活用者は、前処理として0やnullが存在するデータは無視できるレベルであると判断して分析作業に取り組むことができる。もし測定結果が無ければ、低品質なデータにより誤った分析結果のまま判断されることも起きうる。また、異常を検知した際、その原因が、取引先区分が正しく入力されていないことによるものなのかを、調査する工数が発生する恐れもある。

さあ、ビジネスメタデータを整備しよう

ビジネスメタデータをしっかりと定義し公開することで、より多くの人がデータの意味や制約を正しく理解した上で利活用することが可能となる。そのためには、単にデータカタログツールを入れるだけではなく、どのような目的のために、どのビジネスメタデータをどう整備していくと良いかをまずは考える必要がある。

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