『データ駆動型企業』から学ぶ

今回は書籍「データ駆動型企業(注1)」を取り上げる。副題に、「自律的意思決定」でビジネスを加速する5つのステージ、とある。

注1)オリバー・ラッゼスバーガー、モーハン・ソーニー共著、日経BP社、2019年

https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/19/P89870/

原書のタイトルである「The Sentient Enterprise」とは、企業が感覚を持つ有機体のように自らがデータを取り入れ、アルゴリズムを使い、リアルタイムで意思決定する様を表している。

いつものように私の主観で要点を紹介するわけであるが、今回は2部構成にする。第1部では副題にもある「5つのステージ」を紹介し、第2部では筆者2人の見識やデータ駆動型企業を実現する上での要点をキーワード集として紹介する。

第1部 5つのステージ

The Sentient Enterpriseすなわち自律的データ駆動企業となることは、ビジネス上の意思決定方法を変えることである。テクノロジーの発展とそれらを用いたデータ活用によって、企業の人々が徐々に生産性を高めていく。書籍では自律的データ駆動企業となる進路を示す能力成熟度モデルのステージが語られている。

1. アジャイル・データ・プラットフォーム

最初の段階では、組織全体がアジャイルなデータ活用プラットフォームを使えるようにする。旧式のDWHをクラウド環境に移行し、データマート構築にスクラムなどのアジャイル手法を適用する。また、どのようにデータを保存・共有・分析するかを定義するアーキテクチャやガバナンスに取組む。

2. 行動データ・プラットフォーム

顧客エクスペリエンスと顧客行動を理解するための情報基盤を構築する。顧客の意見・購入・評価・画面上での操作などすべての顧客データを統合して見ることにより、顧客個人と顧客グループに関するインサイトを得る。

3. 協調的アイディエーション・プラットフォーム

データを活用するユーザ同士が、お互いのアイディアを共有し、イノベーションに活かすことができる情報基盤を構築する。リンクトインやFacebookに似た社内版SNSを構築し、類似のアナリティクスを発見したり、ゲーミフィケーション(「いいね」やコンテストなど)のようなインセンティブを与える。

4. 分析アプリケーション・プラットフォーム

社員全員が使える分析用アプリを導入する。ここでの狙いは、得られたインサイトに基づき、実際の行動を起こせるようになること。乗り越えるべき課題は、「インサイトとして得られた結果を無視して、従来通りの意思決定を重役クラスが行ってしまうこと」をどのように最適化するか。

5. 自律的意思決定プラットフォーム

分析アルゴリズムが、人間の手を借りずに状況を打開し、大部分の意思決定を行えるようにする。いわば、意思決定の自動化である。

第1部のまとめ

5つのステージは、この書籍の筆者が経験にもとづき、多くの企業がたどるであろう進化のステップを表したものである。ただし、必ずしもこの順番でなくても良い。また、分析アーキテクチャをより大きく・より自律的に・よりアジャイルにしたいと考えている多くの企業に広く適用できるよう設計されている。

自律的データ駆動企業は、人とデータのインタラクションを最適化し、あらゆる場面での意思決定がアルゴリズムによって支援されることを目指すものだ(と私は理解した。)ここでの記述は書籍の言葉をそのまま使った箇所もあるが、私の言葉で要約した部分も混在している。著者の考えに直接触れた方が良いと思うので、ご一読をお勧めする。

次回、第2部キーワード集に続く。