データマネジメント人財に求められるスキル

Image by mohamed Hassan from Pixabay

データマネジメントに取り組む契機は各企業で様々です。例えば老朽化に伴うシステムの再構築にあたりデータを標準化する、あるいは事業横断で新しいデータ活用の取り組みを実現するために統一コードを設計する、といったことが行われます。こういった活動に取り組む際、社内にスキルを持った人財が不足している、育成するための教育プログラムがない、といった人財育成に関する課題が度々挙がります。必要とされる人財像を描くにあたり、まずはデータマネジメントの活動内容から、具体的にどのようなスキルが求められるのかを考えていくと、どのような人材育成をしていけばよいのかが見えてくるのではないでしょうか。

本ブログでは、実際に行われるデータマネジメントの活動内容を踏まえ、求められる5つのスキルについて具体的に述べていきます。

1.経営課題や事業戦略への理解力

データマネジメントは、その活動が目的ではなく、あくまでも経営課題の解決や事業戦略を実現するための手段の一つです。よって、データマネジメントの戦略は、中長期の経営計画に基づいた経営の課題や重点事業領域に対する業務施策に基づいて立案されなければなりません。

そのため、まずは自社のビジネスモデル、つまり、顧客に提供する価値や収益構造、それらを実現するためのプロセスなどをしっかり理解した上で、それら業務施策の中では、具体的にどのようなKPIやデータが必要とされているのかといったデータ要件を導き出す力が必要とされます。そのデータ要件が、次のステップで検討されるデータマネジメント施策の企画立案につながります。

2.データマネジメント施策の企画立案力

業務施策の内容に合わせて、必要とされるデータマネジメント施策の検討を行います(例えば、各拠点の在庫の可視化と適正化をするため、拠点ごとにバラバラであった商品コードと拠点コードを統一する、といった具合に)。このためには、コード統一やデータ統合基盤の構築といった典型的なデータマネジメント施策を一通り理解しておくとともに、今回はそのうちのどの施策を選択すべきかを見極め、企画し立案する力が必要です。

3.プロジェクトマネジメント力

データマネジメント施策の多くは、複数プロジェクトをターゲットに共通的に実施されるべき内容のものを多く含みます。一方、個々のプロジェクトは目的背景が異なるため個別最適に進みがちです。そのためデータマネジメント担当者は、データマネジメントが全体最適で実現されるよう各プロジェクト関係者に働きかけ、お互いの実施スコープや実施時期を調整していく力も求められます。

4.データガバナンスポリシー、制度設計力

どのようなデータマネジメント施策に取り組むかによって、データガバナンスポリシーに求められるものも変わってきます。例えば、コードの標準化に取り組むのであれば、統一コードを新たに設計するのか、現行のコードへ片寄せするのか、2つの方式が考えられます。どのような場合にどちらの方式を取るべきか、コードの標準化のポリシーをまとめておく必要があります。

このように実施するデータマネジメントの施策に対応して、どのようなデータガバンスポリシーが必要となるのかを考えるため、自社の状況などを踏まえて最善策を導き出す力が必要になります。また、ポリシーや制度の設計の内容によっては、専門知識が求められる場合があります。例えばデータセキュリティの観点で、自社のデータへのアクセス権のルールを検討する際には、個人情報保護法やGDPR等、関連する法令に関する知識もある程度備わっていなければなりません。

5.データマネジメント専門分野の技術力

ガバナンスポリシーで定められた各種標準ルールを適用し、データマネジメントを実行する段階では、システムの開発から運用に至る工程で個々のデータマネジメントの技術力が必要となります。これは例えば、各種標準ルールに従ったデータモデリングやデータ定義といったデータに関する設計技法のほか、データクオリティやデータカタログなどデータマネジメントツールに対する知識や、データのアクセス権を制御するためのテクノロジーなど、数多くのスキルや知識が考えられます。

最後に

ここまでデータマネジメント活動とそれに伴うデータマネジメント人財に求められるスキルを5つに分けて述べてきました。最近では、DXの活動をPoCから一歩進んで実業務に適用し、本格化していく段階に差し掛かり、広い業務領域に渡って多くのデータを扱うケースが増えており、これら背景からもデータマネジメントの重要性がより高まってきています。DX人財の育成としてデータサイエンススキルやIoTスキルといったデータ活用に関するスキルがフォーカスされることが多いですが、データ活用しやすい環境を整備・推進していく人財として、データマネジメントスキルを持った人財もセットで育成に取り組んでみてください。