データアーキテクトとは?
データガバナンスの体制として、データオーナ、データスチュワード、そしてデータアーキテクトという3つの役割が必要であると弊社では定義しています。データオーナと、データスチュワードの役割については、過去のブログでご説明しているため、今回はデータアーキテクトに焦点を当ててご紹介します。
データオーナ:
https://metafind.jp/2021/10/25/dataowner/
データスチュワード:
https://metafind.jp/2022/08/25/what-is-data-steward/
データアーキテクトの役割
DMBOK2では、データアーキテクトについて、以下のように定義しています。
“データアーキテクト:データアーキテクチャとデータ統合を担当する上級アナリスト。”
DMBOK2 第16章「データマネジメント組織と役割期待」p.611
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/18/270160/
また、以下のように、データアーキテクチャの仕様を定義し、維持する役割を担うと述べています。
“・組織内のデータの現状を定義する
・データとデータの構成要素に関する業務標準用語を作成する
・データアーキテクチャを企業戦略やビジネスアーキテクチャと整合させる
・戦略的なデータ要件を明確にする
・これらの要求を満たすハイレベルで統合された設計概要を描く
・全体的なエンタープライズアーキテクチャのロードマップと統合する”
第4章「データアーキテクチャ」 P.129-130
一方、次のようなデータアーキテクトの説明もあります。
“データアーキテクチャのアクティビティはデータを整備し制御することを直接サポートする。データアーキテクトはしばしばデータガバナンス・アクティビティにおいて業務側との連絡係として機能する。”
第4章「データアーキテクチャ」p.148
データアーキテクトは設計という一過性の活動だけではなく、開発後もデータガバナンスに関わり続ける必要がある、と説明しているのです。
すなわち、データ設計の支援だけでなく、データガバナンスのために、定義されたルールを遵守し、データ設計が行われているかを直接ガバナンスする役割を担う、データガバナンス体制の一員としても位置づけられます。
データアーキテクトの具体的な活動内容
データアーキテクトの主な活動内容はデータアーキテクチャの仕様を定義し維持することですが、より具体的には、各データマネジメント知識領域において次のように関わっていきます。
- データガバナンス:
各データマネジメント知識領域のポリシーやガイドラインなどの策定支援とガバナンスの実施
※実際に策定するのはデータスチュワードの役割 - データアーキテクチャ:
エンタープライズデータモデルの作成、エンタープライズデータフロー(システム間のデータ連携)の作成 - データモデリング:
データモデリングの各種ルール、標準となる用語・ドメイン一覧の作成 - データ品質管理:
データ品質に関するポリシーに基づいた、品質評価と改善活動 - データセキュリティ:
データセキュリティに関するポリシーに基づいた、定期的なアクセス権の棚卸
データアーキテクトの適任者
では、データアーキテクトはどのような人物が適任なのでしょうか?
データアーキテクトは設計技術が必要となることから、IT部門のメンバーから選出されることが一般的です。
DMBOK2でも、データアーキテクトをIT側の役割として位置づけています。(第16章「データマネジメント組織と役割期待」参照)
しかし、前述の活動は、必ずしも特定の製品やツールの知識を必要とするものではありません。担当する事業領域のデータ要件に詳しいビジネス部門の方が、関連するデータマネジメント技術を身につけ、データアーキテクトになるという考え方もあるでしょう。
最後に
データアーキテクトの役割について、より具体的にイメージいただけたでしょうか。
設計のみならず、データガバナンス体制を構築する際も、今回ご紹介した役割でデータアーキテクトを捉え、体制の一員として組み込んでみることをお勧めします。
弊社ではデータガバナンスの体制構築に関する教育コースや、コンサルティングサービスがございます。
データガバナンス体制についてご興味持たれましたらぜひ一度御覧ください。
データガバナンススキーム構築コース:
https://metafind.jp/education/data_management_academy/data_governance/
ガバナンスサービスページ:
https://metafind.jp/service/datagovernance/